マルチスライスCT
光生会病院では平成26年2月に米国GE Healthcare社製の最新型CTスキャナー“Discovery CT750HD”を導入しました。
1.CTとは
コンピューター断層撮影法(Computed Tomography)の略です。人体にX線を照射しながら機械を回転させると、身体の組織や臓器はエックス線の透過性が異なるため、検出器に届くX線量に差がでます。
これをコンピューターで画像化したものがCTで、身体を輪切りにした写真が得られます。
近年、CTは急速な発展を遂げており、1回の撮影で広範囲を細かく撮影することが可能で、撮影時の息止めや検査時間も大幅に短縮されています。
当院の装置では最速で胸部のCTは約2秒、腹部のCTは約4秒(これらは体格や検査目的により異なる事があります)で、0.625mm厚の画像が得られます。
2.造影剤とは
CTでは通常、ヨード造影剤を使用します。小さな病変や正常部位と透過性がほとんど変わらない病変は、造影剤を用いない検査(単純CT)では診断が困難なことがあります。
このため病変部と正常組織の濃度差(コントラスト)をつけ病変をわかりやすくする目的で、造影剤を用いた検査(造影CT)をすることがあります。尚、実際の使用の有無については検査担当医が必要に応じて決めさせていただきます。
3.MRIと比べたときのCTの利点、欠点は?
MRI装置と比較して、CTが優れている主な点としては
①検査時間が非常に短く、一度に広範囲の撮影が可能、②ペースメーカーや体内に磁性体があっても施行可能、③撮影時の音が小さい、④装置が小さく、閉所恐怖症の方でも撮像できる、⑤細かく撮影しているため、撮影後の画像処理で任意の断面で評価できる、などがあります。
逆にCTの欠点としては
①放射線被ばくがある、②組織のコントラストはMRIには劣る、などがあります。
※CTやMRIには上述の様な利点、欠点があるため、撮影部位や病気の種類、患者様の病状によりCT・MRI検査のいずれか、または両方を施行致します。
4.当院の導入したDiscovery CT750HDの3大特長
特徴1 高画質
検出器素材として、従来比約100倍の発光スピードを持つガーネットを搭載し、データサンプリング数を従来比約2.5倍に増加させたことにより、画像の鮮明度で大幅な向上を達成したCTです。
心臓の冠動脈内に留置されたstent(2.5mm)内腔の評価が可能
特徴 2 デュアルエナジースキャン
2つの異なるエネルギーのX線で同時に撮影する“デュアルエナジースキャン”が可能です。従来のCTでは金属などが留置されている場合は、そのアーチファクトにより画質が劣化していましたが、デュアルエナジースキャンを行うことで画質の劣化を防ぐことが可能です。
デュアルエナジースキャンでの体内金属のアーチファクトに伴う画質劣化の低減
(左;従来のCT画像、右;750HDのCT画像)
特徴 3 超低被ばく撮影
前述のとおり、CTでは人体の被ばくが大きな課題となりますが、最新の画像再構成技術(逐次近似法;Veo,ASiR)により、飛躍的な被ばく低減が可能となりました。通常、被ばく線量を減らすと画質も劣化しましたが、新しいCTでは従来の半分以下、特にVeoと言う装置を併用すると、胸部や腹部では単純X線写真と同程度の被ばく線量で、従来と同等の画像を取得することが可能となり、胸部や腹部のCT検診などで有用です。
単純X線写真と同程度の線量で撮影し、Veoで再構成した胸部CT
(左;従来のCT画像、右;750HDのCT画像)
単純X線写真と同程度の線量で撮影し、Veoで再構成した腹部CT
(左;従来のCT画像、右;750HDのCT画像)
5.CT検査当日の注意点
- 腹部CT検査および造影CT検査では、検査の4時間前から食事制限をしていただいておりますが、水やお茶などの水分は十分におとりください。(但し、同日CT以外に水分制限のある検査を受ける方は、水分も控えて下さい)。
- 検査着に着替えていただく場合があるので、着替えやすい服装でおこしください(金属のついた服や下着、貴金属などははずしていただくことがあります)。
- 検査終了後は特に指示がなければ、普段通りの生活を送ってください。